かつげんの拠り所

1992年生のしがない福祉系地方公務員のブログ

私が公務員1年目のときに教えてもらいたかったこと(その1)

なぜ今書くか

 公務員になって、今年で4年目になる。そろそろ異動の対象となり、「新人」とは言えない時期だ。
 仕事を覚えるということは素晴らしいことで、1年目のときには半日かかっていた仕事が、30分で出来るようになったりする。効率的に仕事ができるから、家に早く帰ることも出来る。

 一方で、仕事を覚えるということは、自分が新人だった頃の気持ちを忘れていくということでもある。「自転車を乗れないということが出来ない」と言うように、「『出来ない』ということがわからない」という状態に陥っていく。

 これから公務員として仕事を続けていったときに、その仕事の相手は、だんだんと後輩が多くなっていく。教わっていた立場から、教える立場になる。
 そのような中で、「出来ないことがわからない」ままでは、後輩に伝えたいことも伝わらないだろう。

 だから、新人だったころの私の経験を言葉にして残しておくことで、なるべく「出来ないことがわかる」という状態を維持したい。それが、今この文章を書く理由である。

 もちろん、これから公務員になる方に対して、スタートダッシュを決めるために活用してもらいたいという気持ちもある。自分に合う合わないもあるだろうから、軽い気持ちで読んでほしい。

顔と名前を覚える

 まず、入庁1週間は、同じ部署や近い部署の人の顔と名前を覚える。私は記憶力がないので、家に帰った後に、席順と名前と顔を思い出すという作業をしていた。おかげで、早い段階で顔と名前が一致し始めたと思う。
 なぜ顔と名前を覚えるかといえば、分からないことやトラブルがあったときに、すぐにコミュニケーションが取れることが重要だからだ。

 係の人と話しているときに、心の中で「(この人、名前なんていうんだっけ...)」なんて思いながらコミュニケーションを取るのは辛いはずだ。自分のためにも早めに覚えてしまったほうが良い。

メモを取る

 入庁1年目のときは、周りの人に教えてもらいながら仕事をすることがほとんどだ。庁舎の構造、出退勤管理、メールの出し方、決裁のとり方などなど、覚えることは山ほどある。

 周りの人から教えてもらったことについては、メモを必ず取ること。

 なぜなら、人間は絶対に忘れてしまう生き物だからだ。教えてもらっているときは「こんな簡単なこと忘れないよ!」と思っていたとしても、やがて忘れてしまうのが人間だ。
 1年目のときは、忘れたときの答えの探し方も分からない。だから周りの人に聞くしか無い。でも、周りの人に聞いたら「話聞いてないの?この前教えたよね?」なんて言われてしまうかもしれない。だから質問もしづらい。

 しかし、一度メモをしておけばこんな心配はいらない。

 メモに限らず「記録する」という行為は、とても大事なことだ。
 保存することも、整理することも、記憶することも、共有することも、すべて記録することから始まる。逆に言えば、記録をしないことによって失う選択肢がたくさんあるのだ。
 公務員は特に、記録するという行為に対しては、より積極的な意識が求められるのは言うまでもない。

 また、自分がメンターの立場になって気づいたのは、「入庁1年目のときのメモは貴重だ」ということだ。入庁1年目は、普通の市民が公務員になっていく期間でもある。この期間に感じた疑問は、役所の外から見たときに、純粋に感じる疑問でもあるのだ。
 この純粋な感覚は、公務員生活を送っていくと、徐々に失われていく。しかし、メモを残しておけば、その忘却に対して抵抗することが出来る。

 私の入庁1年目のときのメモには、タイムカードを押し忘れたときの修正方法や「有給のとり方が分からない!」といった叫びなど、とても初歩的なことがメモしてある。これらのメモは「俺も、昔は分からないことだらけだったな」という自戒につながっているし、新人に対して具体的にどうやって教えればいいのかを考える際に役立った。

 ちなみに、メモを取るときは「記録するか迷ったら、記録しておく」という意識でいた方が良い。入庁1年目は、何が必要で何が不要かをこれから覚えていく立場だ。とりあえず記録をして、あとで整理をしたほうが安全といえる。

質問する

 入庁1年目のときは、質問をするのが仕事だ。メンターが忙しそうにしていても、質問して良い。メンターとはそういう役割だ。
 なにより、こちらからアクションを起こさないと、メンターは気づいてくれない。相手が気づいてくれるのを待つのは、あまりにも責任感がなく、時間の無駄だ。メンターから「今、忙しいから後で!」などと言われるかもしれないが、それは本当に忙しいときなのだ。嫌われているわけではないから、不安に思わないでほしい。

 質問する勇気を得たところで、それでは、どうやって質問すればよいのか。

 例規事務という仕事柄、他の部署から相談を受けることが非常に多い。しかし相談を受けていて思うのは、質問の仕方がわからない人が非常に多いということだ。

 よくあるのが、今までの経緯を洗いざらいすべて喋って、「で、どうすればいいんでしょうか?」と相談に来る例。「で、どうすればいいんでしょうか?」というより「どうしたいんでしょうか?」と、こちらから聞きたくなる。
 実際に聞いてみると「え、それが分からないから相談に来ているのですが」なんて答えが返ってきてしまう。なんて主体性のない相談だろう。

 このような、聞き手を困らせる質問をしないようにするためには、どのように質問すればよいのだろう。
 私の考える質問に必要な要素を、3つ書いた。

1. 自分は、何がしたいのか(目標・方向性・意思・大目的)
2. 自分は今、何をしているのか(現状・問題・小目的)
3. 自分は、何を聞きたいのか(質問・問題の解決)

 日々の仕事というのは、当然その仕事の完成(上記1)を目指している。だから、仕事をしている人はその最終的な完成形を頭に思い浮かべながら仕事をしているはずだ。そして、その仕事の過程では様々な問題が発生する。
 質問するという行為(上記3)は、この様々な問題(上記2)を解決するための一つの手段である。

 例に出した「で、どうすればいいんでしょうか?」という質問が欠けているのは、1の視点だ。経緯の説明は、すべて2に属するのであって、1ではない。意思がないから「え、それが分からないから相談に来ているのですが」と返答することになる。

 1の視点を伝えることがなぜ重要かといえば、同じ目標を達成するのに、もっと効率的な方法が分かったり、逆にその方法では必ず目標は達成できないということが分かったりするからだ。
 質問に答える側としては、聞かれた質問の方向性が分からないまま回答するのは不安だ。もしかしたら曲解されて、「◯◯にも事前に聞きました」などと免罪符にされるかもしれない。

 ちなみに、正確な質問の仕方のフォーマットとしては、

 「私は◯◯がしたいのですが、現状だと△△が分からず、仕事を前に進めることが出来ません。どのようにすれば△△が分かるのでしょうか。」

 という感じになる。ただ、生じている問題によって、質問の仕方が変化するのは当然だ。

 経験上意外と多いのは、そもそも何が聞きたいのかを自分でもよく理解できていない人だ。こういう人は、相手に相談することで(いわば、相手からの反射によって)自分が何を聞きたいのかを整理することが多い。

 このような質問は、絶対にしてはいけない。主体性がなく、相手に寄りかかり、相手の時間を奪う質問を繰り返せば、必ず悪い評判が立つ。

 質問をする前には、必ず聞きたいことを紙に書いて整理すること。
 質問する時は、事前に整理した紙を見ながら質問することをおすすめする。その紙に回答などをメモすることも出来るからだ。

 入庁1年目に、正確な質問の仕方を習得できれば、その後の公務員生活でも必ず役に立つ。ぜひ気をつけてみてほしい。

その2 へ続く。