感想
この前ゲーデル、エッシャー、バッハ―あるいは不思議の環 20周年記念版を図書館から借りてきて読んだ。
理由としては、先日投稿した土曜会での発表の準備のために読んだ。
この本の書評などを見ると、結構評価が割れている。
例えばスゴ本さんでは、以下のような感じで絶賛している。
一方で、「わけが分からない」という書評も見受けられる。
で、私の感想も後者の方。
この本はソフィーの世界 哲学者からの不思議な手紙に似ている気がする。
何か著者の結論があるわけではなく、知の世界を冒険するような、そんな本である。
そういったある種の「知的アドベンチャーもの」として読めば、確かに面白いのかもしれない。
ただ、当時の私には、「結局この本は、何がいいたいの?」という感想に至ってしまった。
GEBの構造
なぜ「何がいいたいのかよく分からない」という感想に陥ってしまうのか。
それは、一言で言えば「末広がりな本」だからではないか。
私がこの本に期待していたのは、ゲーデル・エッシャー・バッハという全く違う分野の人物を横断的に読み解き、「自己言及」と呼ばれるものの類型が示されていることだった。
つまり、大風呂敷を広げて、伏線を回収してまとめることを期待していた。
しかし、この本は、ゲーデル→エッシャー→バッハ→オートポイエーシス→生命の謎・・・
といった形で「自己言及」を一つのキーワードにして、どんどん大風呂敷を広げていく。
そして広げるだけ広げて、まとめない。
その期待とのズレに、私は戸惑ったのだと思う。
GEBのやりたいこと
GEBが何をやりたいのかといえば、それは「自己言及」という言葉をテーマにして、知的リンクを辿っていくことなのだと思う。
どちらかといえば、百学連環的な百科事典としての意味合いが強いと思った。
そして、あとで知ったのだが、GEBは子供向けらしい。
そこから考えても、結論を求める本というよりも、「知的探求は楽しいんだよ」と示す本なのだろう。
それならそうと、最初から言ってくれればいいのに。