先日、前の職場の歓送迎会に参加した。
無難に挨拶をして、これまでお世話になった方へのお酌もして、楽しく飲むことができた。
と思ったのもつかの間、今年入庁したばかりの後輩からこんな質問が飛び出た。
「この係の仕事で大切なことってなんですか?」
この質問が飛んだとき、「おー、先輩になるってこういうことなのか。。。」とたじろぐとともに、議会における質問の事前通告制度の意味がよくわかった。
こんな質問に対して、とっさに良い回答など出てくるはずがない。
本当は、「こんな記事があるよ」なんて言って、以下の記事を勧めたかったが、それをすることもできず。
そして、とっさに次のような話をした。
技術と思想
まず「この係の仕事で大切なことってなんですか?」という質問が、この係のみを限定して質問しているのであれば、それを口頭で伝えることは難しい。
というのも、この係においてまず大事なのは、具体的にどういう風に仕事をしていけばよいのかという技術論であって、それはOJT等によって学ぶべきものだからだ。
この場(飲み会)ではこの係に限定されない、仕事として大事な考え方であれば話せるし、おそらくあなた(後輩)が必要としているのは、そういった類のものではないか。
理由を知ること
私たちの仕事には、理由がある。
これには、法規などの明文化されたものもあれば、慣習的で目に見えないものもある。
つまり、一つ一つの仕事には「なぜその仕事をしなければならないのか」という理由付けがされている。
その理由を把握しようとすることが、まず大事だ。
確かに、マニュアルだけで仕事をすることは出来る。しかし、マニュアルだけで仕事をしていては、いつまで経っても「その場しのぎ」であって、応用が効かない。
理由を把握できれば、他の場面でも応用が効く。
それはつまり、発展性があるということであって、仕事を早く覚えるためには、これが必須である。
権限の範囲を知ること
そして、その仕事の理由を知ることは、すなわち権限の範囲を知ることにつながる。
自分に与えられた仕事の権限はどこまでなのか。係で行える権限はどこまでなのか。
権限の範囲を把握していないと、本来的には相手の部署でやるべき仕事を「こちらでやりますよ」と答えてしまったり、逆にこちらの部署でやるべき仕事を「あなたの仕事でしょ」と答えてしまったりする。
例えば、間違った権限において仕事が完遂されてしまった場合で、来年にも同じ事業がある場合、「去年もそのように扱ったから」などと言われて、間違った権限における仕事が再生産されてしまうこともある。
「縄張り争い」とまではいかないが、役所は、権限の範囲に対して敏感である。
トラブルを起こして、下手に自分の仕事を増やさないように、心がける必要がある。
担当者としての責任を持つこと
最後に、理由を知り、権限の範囲を知るということは、責任を持って仕事をすることに繋がる。
課や係において、担当の割り振りは必ず行われるだろう。
「担当者である」ということは、その仕事の範囲においては、自分に権限が与えられているということであって、自分の裁量によって、主体的に仕事をしてよいということである。
それだけに、何かトラブルがあったときは、まっさきに動かなければいけないし、誰よりもその担当業務に詳しくならなければならないし、説明を請われたときは答えなければならない。
仕事内容によっては、担当が作った成果物を、事前にチェックする者が割り振られている場合もある。
しかし、それに甘んじないこと。例え、チェックしてもらったとしても、ミスが判明したときには当然、担当者の責任になることを自覚すべきである。
終わりに
ひととおり話したことを書き出してみた。
振り返ってみれば、「あれも言えば良かった。これも言ってないな。」と思うこともあるのだが、ひとまず一定の回答は出来たのではないかと思う。
ともあれ、後輩からこのような質問が出てくること自体、大変嬉しいことである。
もう異動してしまった係ではあるが、安心して後輩に仕事を任せられる気がした。