かつげんの拠り所

1992年生のしがない子ども福祉系地方公務員のブログ

非効率な仕事には何か理由がある(かもしれない)

現状の業務に非効率な部分があっても、その非効率さには理由があるかもしれない。だから、その非効率さを敵視して、あたかも「これぞお役所仕事」みたいなレッテルをすぐに貼ってはいけない。

現状の非効率さには理由があって、それを自分が知らないだけかもしれない。例えば「昔、都道府県から通知が来て、そういう仕組みになっていた」なんていうことはよくある話である。

自分より頭のいい人なんて大勢いる。だから非効率な部分をそのままにしておくはずがない。そこにはなにか理由があるはずだと考え、調べなければならない。

うちの係のある担当が、生活保護の書類をメールで送れないか?という"改善案"をぶち上げた。印刷して郵送するのが非効率だから、メールで送りたいということらしい。たしかにそうなったら嬉しいが、私は「さすがにそれは出来ないんじゃないか?」と思った。

私は文書管理をしていたから、その担当が私に「公文書をメールで送ることは可能か?」と質問してきた。そこで私は規程を調べて「公文書は”ある要件を満たせば”メールで送れますよ」と答えた。実際そのように決められている。

そうすると、その担当はすぐさま上司の元に行き、「生活保護の書類を来年からメールで送れるようにしたい」と正式に提案し始めた。

さすがに私も驚いて、その後提案を受けていた上司へ「私は、ある要件を満たせば公文書はメールで送れるといったけど、その書類が送れるとは言ってないですよ」と釈明した。

実際調べてみると、その書類はやはり公印が必要で、現在の制度の中では、紙で送らなければならない書類であることがわかった。

つまりその担当者は、業務改善を思いついたものの、「実際に可能なのか」とか「どのようにやるのか」「誰に話を通すのか」ということについて、特に調べてもないし、考えてもない。

具体的な話をこれ以上続けると愚痴になるからこれで終わりにしよう。

ともかく「非効率だから俺が変えてやる」という気持ちだけでは、業務改善はできない。むしろ、これまでの経緯や非効率さに対する、ある種の”敬意”を持たないと、逆効果になることすらある。

「これ非効率じゃね?」とか「おかしいな…」と思ったら、そうなっている理由を調べてみる。調べて出てこなければ、他の職員に聞いてみる。そうやって調べて理由が判明したとき、その理由が妥当だと思うなら、引継ぎとして文書に残しておけば良い。

いろいろ調べ尽くしても妥当な理由が分からないときに、初めて業務改善は検討されるべきであろう。そういった下調べもなく、「業務改善すること」それ自体が目的化してしまったら、元も子もない。