うちの係にタブレットが支給された。DX推進の一環らしい。
「支給された」といっても、同じ課の他の係には支給されているのに、なぜかうちには支給されていないということが分かり、「うちにもくれ!」と要望したのだ。
こう簡単に書いたものの、うちの係にタブレットが届くまでには、
① 私の所属している係の係長に話をする
② DX推進担当の係長に話をする
③ DX推進担当の職員と、具体的な導入方法について話を詰める
④ 課長の了解を得る
⑤ 導入に向けて、物品を用意する
⑥ 係員へ使い方やルールを周知する
⑦ 導入
というステップを(簡略化しているが)踏まなければならなかった。「他の係にすでに導入されているものを、うちにも導入する」ということのためだけにだ。
アイデアを出すことは誰にでもできる。
しかし、アイデアを出すことと実現することの間には、想像以上の距離がある。そしてその距離は、実現に向けて動き始めたときに、初めて認識することができる。
つまり、「着手した人にしかわからない困難さ」なのだ。
だからこそ逆に、着手しない人は、その困難さが分からないから、要望(だけ)をするのである。
周りから見ると「たったそれだけのこと」なのに時間がかかるのは、理由がある。
その理由を想像できるのは、やはり、問題解決をしようとした者だけなのだろう。