『ハッピークラシー』を読んだ。
「あらゆる出来事も、自分の心持ち次第で幸せになれる」という、いわゆるポジティブ心理学に対する批判の本だ。
この本の趣旨からはズレるかもしれないが、人間生きていて、幸せにならなきゃいけないということはない。幸福追求権はあるが、幸福追求義務はないのだ。
しかしこの社会は、確固たる幸せがあって、序列があり、その「幸せ度」を競っているように見えるときがある。
そもそも「幸せとはなにか」と考えること自体が、野暮なことのように思う。これだけ多様な世の中で、幸せの意味が一義的に決まるはずがないし、わたしたちはそんなことを考えて、日々生きているわけではない。
人間は、ただ生まれ、ただ生きて、ただ死ぬのである。
そういう、ある種の所与性やその限界について、我々はもう少し冷静に考えなければならないように思う。