#ジブリで学ぶ自治体法務 というハッシュタグが、(非常に狭い範囲の)ツイッター上で話題になっています。
ただ、自治体法務にあまり明るくない方や、これから公務員を目指そうとしている人にとっては「なんのことやら」という話であることもしばしば。
そこで、私の分かる範囲ではありますが、抜粋をして解説をしてみようと思い、書いてみようかと思います。
法規担当のイメージ
法規担当に相談しようと来てみたが入れる雰囲気ではない#ジブリで学ぶ自治体法務 pic.twitter.com/1B7qMhGWfp
— 初心忘れつつある (@tihoujiti12345) 2020年9月23日
「法規担当」とは、条例や規則などのルールを制定する際に、その内容の審査を行っている部署のことです。
自治体における条例や規則は、ほとんどこの「法規担当」の審査を受けます。
条例や規則の作成には、一定のお作法があり、内容はもちろんのこと、書き方についても正確性や厳密さが求められます。
感覚的には「条例や規則における門番」というイメージです。
法規担当は、このように極めて専門的で重要な業務を行っているために、他の部署からは「マジメすぎる」とか「指摘が厳しい」という印象を持たれていることが多いです。
また、「住民課」といった窓口職場と違って、住民でごった返していたり、電話がひっきりなしに鳴っているということがないため、静かな部署とも言えるでしょう。
そのため「相談しようと来てみたが入れる雰囲気ではない」と、敬遠されがちな部署となっています。
法規担当がOKって言ったもん!#ジブリで学ぶ自治体法務 pic.twitter.com/GIbEjvg781
— ハマー (@james8610) 2020年9月23日
先程の逆バージョン。
「マジメ」で「指摘が厳しい」からこそ、相談した側が「法規担当の感触が良かった!」と感じると、「法規担当に相談しましたが、良さそうです!」などと上司に報告したりすることがあります。
しかし、実際には「こういう場合にはOK」などと条件付きだったり、そもそも誤解に基づいていることもあり、トラブルになることもしばしば。
個人的な経験としては、本来、法規担当が審査しなくてもよい文書(例えば、通知文や覚え書など)について「ちょっと中身見てくれない?」と頼まれ、善意で中身を見た結果、「法規担当が見てくれたので、大丈夫です!」というお墨付きを与えた形になり、若干トラブルになりかけたことがあります。
この2つのツイートからは、法規担当が「条例・規則の門番」として、厳しいイメージを持たれているということを表していると思います。
法規担当の必読書
「 異動して来たばかりで仕事がわからないだろうから、今日は石毛法制執務を読んでいて」#ジブリで学ぶ自治体法務 pic.twitter.com/isHgg6Xnjf
— kei-zu■発売中「法規担当になったら読む本 」(学陽書房) (@keizu4080) 2020年9月22日
ここでいう「石毛法制執務」とは、以下の本のことです。
条例や規則に携わるものとしては、必携と言って良い本だと思います。
このような本は、似たような題名が付くことが多く、ツイートでは、著者名で示していますが、私は「詳解」と呼んでいました。
ちなみに、他に必携と言われている本は、以下の本です。
どちらも分厚い本ですが、必携といって良いと思います。
なお「異動して来たばかりで仕事がわからないだろうから、」と言われて読んだところで、本の中身もよく分かりません。
そこでおすすめとしては、
から読んでみるのが良いと思います。
イラストも時折ありますし、練習問題もあるので、ちょっとかじってみたいという人にもオススメです。
自治体法務と国の動向
官報が23時30分に発行されたから、これから専決処分 #ジブリで学ぶ自治体法務 pic.twitter.com/mSgR61LFC0
— にありーいこーる (@J_Searobin) 2020年9月23日
油断してたら、国会閉会直前に成立した#ジブリで学ぶ自治体法務 pic.twitter.com/JbtrRPGirE
— kei-zu■発売中「法規担当になったら読む本 」(学陽書房) (@keizu4080) 2020年9月23日
「省令の公布のタイミング、なんとかなりませんかねぇ」
— kei-zu■発売中「法規担当になったら読む本 」(学陽書房) (@keizu4080) 2020年9月23日
「議会の3日前だからなあ」#ジブリで学ぶ自治体法務 pic.twitter.com/6JmxX4WT9U
「地方分権」と言われて久しいですが、自治体だけで決められることには、当然限界があります。
例えば、ある制度が全国一律で開始となり、その実務は各自治体で行うという場合は、国が示す制度内容に自治体が左右されます。
そのため、条例や規則についても、国が制定する法律や省令(各省庁が出す、比較的細かいことが書かれたルール)を参考にしなければなりません。
自治体の法規担当としては、これらの法律案や省令案を早めに公開してもらい、条例案の作成に役立てたいわけですが、国会の政治日程等が絡んだりすると、直前まで公開されないこともあります。
また、仮に事前に公開されていたとしても、あくまでそれは「案」であり、正式なものではありません。
そのため、実際に制定されないと、案を作成できないということもあります。
国には国会のスケジュールがあるように、自治体にも議会のスケジュールがあります。
法規担当は「議会への案の提出が間に合わない!」ということがないように、国の動向を逐一見ておく必要があるのです。
ちなみに、文脈が分かる程度に、用語をざっくり説明すると、
「官報」とは、法律や省令が、案ではなく正式なものになったことを示す新聞のこと。
「専決処分」とは、本当は議会の決定を受けなければいけないものを、しょうがないときは自治体の長が代わりに決定できること。
「公布」とは、法律や省令が官報に載ること。
と考えてみてください。
1つ目のツイートは、「法律が正式なものになったのが23時30分で、(明日までに条例を制定する必要があるのに)議会はこれから開けない。これはしょうがないことだから、代わりに自治体の長が決定しないと!」という話です。
ということで、シリーズとして続くかもしれませんが、今日はこの辺で。