かつげんの拠り所

1992年生のしがない子ども福祉系地方公務員のブログ

何がやりたいのかよく分からない開会式だった

東京オリンピックの開会式を見た。

東京でやる意味はなにか?

いろんな人が言っていることだが、何が言いたいのかよく分からない開会式だった。
はっきり言って失敗だったと思うのだが、全体の構成として、多様性を意識しすぎていたのではないかと思う。

確かに昨今のSNSの状況を見ると、ジェンダーやLGBTQ、黒人差別の問題など、配慮すべきことはたくさんあって、その中でどうバランスを取るかというのは難しいことだ。

しかし、多様性や差別問題の解消をテーマとして掲げたいのであれば、それはどこの都市だってできるし、オリンピックじゃなくても出来る。

そういった要素を取り入れることは大事なことだけれども、そこを意識するあまり全体としてのメッセージがぼやけてしまっていたように感じた。

私が一番思ったのは「コロナ禍の東京で、オリンピックをやる意味は何なのか?」ということだ。そういうものを打ち出せれば、例え祝祭感はなくとも、納得する式になっていたと思う。

コロナ禍でやる意味も、日本/東京でやる意味も、私には感じられなかった。
リオの引き継ぎ式がよかっただけに、非常に残念な気持ちになった。

個別の話

・「え、聖火台って常設じゃないの?」とびっくりした。そもそも、聖火台の存在を考えずに、国立競技場が設計されているというのは、どういうことなのか。聖火台は、人間では届かないはるか上にあって、それをみんなで見上げているから良い。聖火台の造形は良いとして、あれがハリボテの上に設置されているのは、聖火の荘厳さを捨ててしまっているような気がする。

・全体的にビデオが多かった。わざわざ会場で集まってやる意味は何なのだろうか?24時間テレビみたいだった。

森山未來の追悼はよかった。痛そうだったけど。

・「木製の輪が出てきました!」って、いや絶対、変形して五輪になるでしょう。そういう意外性のふりをした演出で冷めてしまった。

真矢みきはよかった。元宝塚男役で、女が棟梁をやるというまぜこぜ感がいい。

・火消しはよく分からない。というか、これから聖火を灯すのに、火消しはまずいのではないか。

ストーリーテラー的にいたTVクルーだが、全く意味が分からない。なぜTVクルーなのか。なぜ「え?おれ?」みたいな芝居を毎回入れるのか。

・ドローン良かった。開会式で「すげー」と思ったのはあれぐらいかもしれない。

・入場行進の際のBGMは、オタクに媚びている感じがして、個人的にはあんまり好きじゃなかった。任天堂のBGMもないし、後の演出でも登場していなかったから、なにかあったのだろう。

ピクトグラムは、個人的には面白かったけど、画面を通しているから面白かったのだと思う。会場の規模で考えると、こじんまりとしすぎていた。国立競技場の真ん中で、アレをぽつんとやるのは寂しい。

聖火リレーの最終走者が大坂なおみだったことについては、国際的には正解かもしれないけど、SNSは荒れる。「大坂なおみが国民の納得する最終走者か」と聞かれると、ちょっとそれは違うだろうなと思った。
池江璃花子か吉田×野村と順番を入れ替えるべきだったと個人的には思う。

 

ゴタゴタがあったので期待値は低かったが、その低い期待値どおりの開会式だった

SNSを見ると擁護する声もある。
擁護したくなる気持ちは分かるのだが、冷静に見た時に「いい開会式だった」と思えるものだっただろうか。むしろ、エンブレムの撤回、ザハ案の撤回、会長の辞任など、トラブル続きだった大会運営が、如実に表現されてしまった開会式だったように思う。