例えば、自分が仕事を休んでいた間に、同僚が自分の仕事を代わりにしてくれていたとする。次の日、それに気づいた私は、同僚にどんな風に声をかけるだろうか。
「すいません、○○さん。代わりに仕事をやってもらって...」
という感じではないだろうか。
こんな風に、何かと「すいません...」から会話を始める人がいる。私も、仕事を初めて2~3年目ぐらいまでは、そうだった。周りの職員はすべて年上で、上司だったから、萎縮していたのだろう。
しかし、冷静に考えれば、休みを取ることは悪いことではない。仕事でお互いに迷惑を掛け合うことも、当たり前のことである。それなのになぜ、わざわざ下手に出て謝らなければならないのだろう。こうして「すいません」を連呼していくうちに、それが自己暗示となって、ますます萎縮してしまう。萎縮したところに付け込んで、無理な仕事を押し付けようとする人もいるだろう。
「すいません」と言われた側も、ほとんどの人は謝ってほしいわけではない。「そんな下手に出なくても...」と思うことすらある。
「すいません」という言葉は、自分を低くすることで、相手を高く見せる言葉だと言える。謙譲語と同じ仕組みだ。だがその場面は、本当に自分を低くしないといけない場面なのだろうか。
さて、こういった「すいません」を多用してしまう人には、その代わりに「ありがとうございます」とか「お陰で助かりました」などと言うことを提案したい。
「ありがとうございます」と感謝を述べることは、自分を卑下せずに、相手を上げることができる。そもそも、世の中で使われている「すいません」の8割ぐらいは、「ありがとうございます」で代替できる。わざわざ卑下して「すいません」という必要はない。
自分を卑下せずに、感謝を述べることが出来るようになると、周りの人に対する萎縮もしなくなる。小さいことかもしれないが、「すいません」が口ぐせになっている人も多く、ここが改善できると、すんなりと自己肯定感が養えたりする。少なくとも自分はそうだった。
ということで、すぐに「すいません」と言ってしまう人は「ありがとうございました」と単純な感謝を述べるように替えてみると、いいかもしれない。